組織解剖学〜甲状腺〜
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甲状腺 Thyroid glandや副腎 Adrenal glandは、医学部学士編入試験の生命科学で問われやすいので完璧にしておく必要があります。特に、最近は鹿児島大学、旭川医科大学と組織学に関する問題が出題される年度が度々ありますので注意が必要です。

甲状腺について

【穴埋め問題】
甲状腺は内分泌器官であり、甲状腺ホルモンであるサイロキシン(T4)トリヨードサイロニン(T3)、そしてカルシトニンを分泌する。甲状腺は、発生学的には ( 1 ) 胚葉から生じる。そして、甲状腺は右葉と左葉に分かれており、位置的には頭側から舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨、甲状腺狭窄部、気管の順で並んでいる。甲状腺は被膜に覆われており、この結合組織は甲状腺を多数の小葉に分けており、組織切片を拡大して見てみると甲状腺は濾胞(腔)と呼ばれ袋が多数存在している。この濾胞はT4、T3 (大部分はT4)を分泌する ( 2 ) 細胞 によって囲まれており、その濾胞内腔は ( 2 ) 細胞の分泌物を貯蔵しており ( 3 ) と呼ばれるが、その主成分は糖タンパクの ( 4 ) と呼ばれる甲状腺ホルモンの前駆体である。また、各濾胞間の結合組織を埋めるようにカルシトニンを分泌する ( 5 ) 細胞(C細胞とも呼ばれる)が存在し、その周囲に内分泌を行うための場所である ( 6 ) が存在する。甲状腺ホルモンであるT4、T3は細胞の ( 7 ) を高めたり、正常な発育を維持するために必要である。それにはまず、視床下部から甲状腺刺激ホルモン放出ホルモンであるTRHが放出され、下垂体前葉から甲状腺刺激ホルモン ( 8 ) の放出を促す。

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下垂体前葉から放出されたTSHは、濾胞上皮細胞の細胞膜上に存在するTSH受容体に作用する。この受容体は ( 9 )連結型受容体であり、アデニル酸シクラーゼを活性化しcAMP濃度を上昇させ、PKAを活性化させることによりシグナル伝達を行う。結果、濾胞上皮細胞では糖タンパク質である ( 4 ) の転写翻訳が促進され濾胞腔への分泌が進む。また、同時にヨウ素の分泌も促進される。そして、濾胞腔に放出された ( 4 ) の ( 10 ) 残基が ( 11 ) によってヨウ素化される。そしてヨウ素化サイログロブリンとなり、再び濾胞上皮細胞内に取り込まれ、( 12 ) によって加水分解を受け、甲状腺ホルモンであるT4(大部分)、T3(少し)となる。これらは血中ではサイロキシン結合タンパクTBGやアルブミンに結合して全身を周る。甲状腺ホルモンの受容体は、( 13 ) 受容体であり、全身の細胞に発現している。甲状腺では濾胞上皮細胞上のTSH受容体に対する ( 14 ) 抗体が産生されることにより、TSH受容体が慢性的に刺激される自己免疫疾患である甲状腺機能亢進にはたらくバセドウ病がある。一方で、甲状腺機能低下症には、慢性甲状腺炎が原因の ( 15 ) 病や、甲状腺無形成が原因の ( 16 ) 病などがある。(創作問題)

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【答え】
1.内(胚葉)、2.濾胞上皮細胞、3.コロイド、4.サイログロブリン、5.傍濾胞細胞、6.毛細血管、7.新陳代謝、8.TSH、9.Gタンパク質(連結型受容体、10.チロシン、11.TPOサイログロブリンペルオキシダーゼ、12.リソソーム、13.核内(受容体)、14.抗TSH受容体(抗体)、15.橋本(病)、16.クレチン(病)

甲状腺の位置

甲状腺は右葉と左葉に分かれており、位置的には頭側から舌骨、甲状軟骨、輪状軟骨、甲状腺狭窄部、気管の順で並んでいる。


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組織学的にみてみる

甲状腺は被膜に覆われており、この結合組織は甲状腺を多数の小葉に分けており、組織切片を拡大して見てみると甲状腺は濾胞(腔)と呼ばれ袋が多数存在している。

また、この濾胞(腔)は濾胞上皮細胞 によって囲まれており甲状腺ホルモンT4、T3 を分泌する、その濾胞内腔は コロイドと呼ばれるが、その主成分は糖タンパクの サイログロブリンであり、これが甲状腺ホルモンの前駆体となる。また、各濾胞間の結合組織を埋めるようにカルシトニンを分泌する傍濾胞細胞(C細胞)や、毛細血管が存在する。

カルシトニンペプチドホルモンであり、破骨細胞抑制に働く(血中カルシウム濃度下げる!)が、生理活性はあまり高くない。

副甲状腺ホルモンであるPTHパラトルモンと機能的には拮抗すると覚えておく。濾胞上皮細胞は、濾胞においてTPOによってヨウ素化されたサイログロブリンを再吸収するため、濾胞腔に面した側では表面積を増加させるための、微絨毛が発達している。そのため弱拡大では刷子縁が存在する。


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TSHからT4、T3の分泌まで

下垂体前葉から放出されたTSHは、濾胞上皮細胞の細胞膜上に存在するTSH受容体に作用する。この受容体は Gタンパク質連結型受容体であり、アデニル酸シクラーゼを活性化しcAMP濃度を上昇させ、PKAを活性化させることによりシグナル伝達を行う。結果、濾胞上皮細胞では糖タンパク質である サイログロブリンの転写翻訳が促進され濾胞腔への分泌が進む。また、同時にヨウ素の分泌もヨードトランスポーター、そしてペンドリンを通して促進される。そして、濾胞腔に放出されたサイログロブリンのチロシン残基が甲状腺ペルオキシダーゼであるTPO(Thyroid peroxidase)にヨウ素を付加される。そしてヨウ素化されたサイログロブリンは再び、濾胞上皮細胞内に再吸収されリソソームにより加水分解を受けT4、T3が生成する。血中では、サイロキシン結合タンパクTBGやアルブミンに結合して循環する。その後、全身の細胞に発現している甲状腺ホルモン受容体に結合して各標的遺伝子の転写制御を行う。この甲状腺ホルモン受容体は核内受容体であることに注意!


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この流れは説明できるようにしておく。特にヨウ素化サイログロブリンが再吸収されるという点が重要!

  1. 脳下垂体前葉から甲状腺刺激ホルモンTSHが分泌され、甲状腺濾胞上に細胞上のTSH受容体に結合する。
  2. TSH受容体はGタンパク質連結型受容体であり、最終的にPKAを活性化してサイログロブリンTGの転写翻訳が進む。
  3. TGは濾胞腔へ分泌され、甲状腺ペルオキシダーゼTPOによってチロシン残基がヨウ素化される。
  4. ヨウ素化されたTGは再び、濾胞上皮細胞にエンドサイトーシスされる。
  5. リソソームによって加水分解を受け、T4、T3が生じる。
  6. 血中でT4、T3はサイログロブリン結合タンパクに結合して循環する。
  7. 全身の細胞に存在する甲状腺ホルモン受容体に結合して標的遺伝子の発現を制御している。

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