
現在行われている医学部学士編入試験において、各大学の課している試験科目は多種多様です。英語と生命科学は基本的には試験科目として課されており、大学によってはその2科目に加えて、大学レベルの物理や化学を試験科目に課してくる大学が数校存在しています。
合格のためには、もちろんどの科目も全てにおいて高得点を叩き出すことが一番ですが、試験を迎えるに当たって、何か一つ合否を分ける心構えみたいなものを伝えられたらと思います。
医学部学士編入試験合格には、まず生命科学と英語
まず、合格のための必須条件は言うまでもなく、生命科学と英語で得点を合格点を取ることです。先にも述べましたが、医学部学士編入試験を実施している国公立大学30校、ほぼすべての大学で生命科学と英語を試験科目として課しています。
群馬大学では「小論文Ⅰ、小論文Ⅱ」、愛媛大学、香川大学、島根大学などの「自然科学総合問題」、鹿児島大学では「学力試験Ⅰ(理科)」とありますが、これらはいずれも生命科学の知識を問う問題が出題されます。唯一の奈良県立医科大学のみ生命科学とは決まっておらず、理科は物理、化学、生物からの一つを選択することになっています(2019年現在)
生命科学は大学一年時の教養過程で学ぶものであり、その教養を飛ばして二年次から入学してくる学士編入受験生に対し、大学側は当然それ相応の知識を要求してきます。よって、試験問題も必然的に難しいものになりがちですが、実際の試験の合否というものは難問では決まりません。
僕は、試験というものは基本問題をミスなくこなすこと、そしてあとちょっとの差をつけることができれば、他の受験生に勝利することができると考えています。圧倒的な力の差で勝つ必要はないのです。この医学部学士編入試験の場合、現実的な勝ち方は、
①生命科学(知識面)、英語で基本問題は確実に得点すること(数物化もあれば同様)
②数物化そして生命科学で計算問題をしっかりと得点すること
という点に焦点が当てられると考えます。
基本問題は得点して当たり前
あらゆる試験において合格者には共通して言えることは、知識面での基本問題は着実に正解するということです。これは、当然と言えば当然のことですが、これを分かっていない受験生が本当に多い気がします。そのような受験生は、基本的な事柄の細かいところまでしっかり暗記していないのにもかかわらず、とにかく難問を解きたがる傾向があります。
生命科学の知識面に関しては、基本問題であれば、どのようなものが出題されても、即座に答えられるようにしておくことが必須であり、ある一つの用語が出てきたら、それに関連する事項まで頭の中で一気に浮かんでくるようにしておくことが合格の条件となると思います。
難問は解かなくて良い、くらいの気持ちで
特に完璧主義の方は、すべての問題を解かないといけないんじゃないか。。。と考えがちですが、そんなことはありません。多くの試験では、60%〜70%の得点率で合格するように作られています。それを肝に命じておくことです。問題を頭から順番に全部解いていこうなどとは決して考えずに、解ける問題は必ず解く!という気持ちでいること。これは試験に臨む際には重要な考え方です。
大問が6題出題されたら、その中にも小問がいくつもあると思いますが、少し考えてダメなら他の問題を解くようにして、試験時間の内にまた同じところに戻って来れば良いのです。そうすることで、意外にも回答の突破口が見つかったりすることもあります。
そして、その中にもいわゆる難問と言われる類のものがあります。「どの問題が難問なのか」は演習経験を積んでいくと分かってくるもので、それは正直勉強するしかありません。しかし、「これは難問だなぁ」とか「これは解かなきゃ落ちるでしょ」といった、各問題の「重さ」を意識して試験に臨むことは非常に重要です。
僕は、難問と言われる問題はあくまで、家でゆっくりとお茶でも飲みながら鑑賞する類のもので、試験の合否には直結しないと考えます。合格するためには、基本問題を着実にミスなく得点できるか、この一点に尽きると思います。これから受験に向けて、生命科学を勉強してゆく人、もしくはまさに今勉強している人は、そのことをしっかりと頭に入れておきましょう。
基本問題を学ぶには何をやればいいのか?
基本問題の重要性はよく分かったけど、じゃあ何が「基本」なのよ?となりますよね。基本問題を学習する、一番手っ取り早い方法は、医学部学士編入専門予備校の河合塾KALSの門を叩くのが一番手っ取り早い方法だと思います。
長年蓄積した情報もたくさん揃っていますし、何よりも講師陣がとても素晴らしい方々ばかりです。僕自身も大変お世話になりました。
しかし、正直予備校ですのでお金がかかります。パンフレットを見ながら授業を選択しようにも、すべてのコースが重要に思えてきて、受験費用や直前対策を含めると余裕で100万円を超えます。僕は働きながら勉強していましたので、給料を学費に当てることができましたが、収入がない方や仕事をせずに不退転の決意で望まれている方々には、その学費は安いものではないと思います。
もし僕が仮に、予備校の力を借りないで医学部学士編入試験に望むとしたら、どのような参考書を用いるか。それも踏まえて、以下の記事で自分が実際に使ってみて役に立った参考書や、そのような場合にはどうするかを紹介していますので、是非ご覧になってください。
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計算問題の重要性
生命科学で合格点は取った。
英語でも合格点は取った。
で?
筆記で差をつけるとしたらどうするか?
僕は最後の決め手は、数物化生命科学を含めた問題における計算問題にあると考えています。
僕が以前の大学で学生をしていた時、S台で講師のアルバイトをしていた経験があります。生徒の答案を採点して見ると、数学だけでなく、特に化学や物理の計算問題の得点率の悪いことに唖然とした経験があります。文字式で問題を解かせた後に、各数値を与えて代入させ、数値計算を行う場合であっても、有効数字や小数点の取り扱いでミスが起こり、最後までたどり着ける学生は本当に少ないのが現状です。そして、そのような数値計算をさせる問題は、他の問題を比べても配点が1、2点高くなっているのです。まぁ当然ですよね。
そして、医学部学士編入の試験問題、特に生命科学に関しても、数値計算をさせる問題は少なくありません。また、その受験生にはもともと文系大学出身の受験生も多数存在しており、そのような方々の多くは数値計算を苦手とされているように思います。
医学部学士編入試験の現状では、英語と生命科学の二科目で受験できる大学に人気が殺到する傾向にありますが、文系受験者をなるべく排除してゆくようにしている傾向が見られる為、今後は理系大学出身者だけでなく、文系大学出身者も同じく、数学、物理、化学の知識も強化してゆかなくては合格できない時代になってゆくのではないかと感じています。
実際に、自分が受験した2017年の鹿児島大学医学部学士編入試験では、ドナン平衡の計算問題や、微小変化を扱う積分計算が出題されていました。また、滋賀医科大学では短時間のうちに物理、化学を含めた計算問題を素早くかつ正確に解答する力が必要とされています。他大学に関しても計算問題を、全く避けて通るなどということはできないでしょう。
まとめ
医学部学士編入しけんに合格するためのポイントは挙げれば沢山あるとは思いますが、自分がなにより大切だと思うことは、
- 生命科学で合格点を取ること(基本問題は必ず取る)
- 英語で合格点を取ること(基本問題は必ず取る)
そして、何より合否を決めるのは、
- 数物化生命科学の数値計算問題は必ず正解すること
医学部学士編入試験に限らず、一般の試験の場合も同様かとは思いますが、計算問題が出たら必ず得点する!という気概で試験に望まれることが大切です。