【計算問題】組み換え価と遺伝子間距離
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今回は遺伝学の分野ではしばしば出題される、染色体地図に関する計算問題を練習してみよう、という記事です。この染色体地図問題は、僕は受験生の時に苦手としていた分野でした。医学部学士編入生命科学試験では計算問題と絡めてしばしば見かけます。この問題は計算方法を知っていれば確実に得点源にできますが、知らなければ当然回答不可能です。合否に直結する問題となってくること必至ですので、しっかり練習しましょう。

 染色体地図問題 例題

【例題】

遺伝子型AABBDDの個体と遺伝子型aabbddの個体を交雑してF1を得た。このF1世代にaabbddの個体を交雑したところ、以下のような結果が得られた。この結果から染色体地図を作成せよ。(頻出問題)

表現型 ABD ABd AbD Abd aBD aBd abD abd
個体数 420 5 80 10 25 60 10 390
【解答例】
【ポイント】
ポイントは以下の式に沿って、3つの各遺伝子間の組み換え価を求めるだけ。
【注意】
遺伝子A、B、Dの各遺伝子の組み換え価値を計算すると、10+31=41であり、35 とはなりません。ただし、これは数学的には間違っていますが、遺伝学的にはこれでOKです。これは、染色体どうしの間での遺伝子の組み換えは、一箇所でのみ起こっているのではなく、二箇所以上で起こっているため(多重組み換えのため)数値が若干ずれてくるからです。

 組み換え価が大きい= 遺伝子間距離が大きい

この上図のように遺伝子型がABD、abdのように連鎖している場合、一番多く生じる配偶子は左のバターンです。一方で、右上図のABとabように各遺伝子座が近接している場合、その遺伝子間で交叉するのは物理的に難しくなってくる為、このパターンでの組み換えは起こりにくくなってきます。その為、右上の図のパターンが一番少なくなります。
そして、この「次に多い」のパターンにあるように、ここでは(AD間、ad間)の組み換え(BD間、bd間)の組み換えでは距離の長い分、前者の方が組み換えが起こりやすいということになります。
ここで重要なのは
この関係を覚えておきましょう。
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 多重(二重)組み換えとは?

上の【注意】でも書きましたが、多重組み換えが生じると、組み換え価の足し算が合わなくなります。これは上図のように2箇所で組み換えが生じている場合、AD間とad間では組み換えが生じているにも拘らず、AD、adは連鎖して(同じ染色体上に乗って)おり、結果的には組み換えを起こしていないように見えてしまっています
この為、先ほどの計算ではAB間の組み換え価が35となり、41より小さくなってしまっていました。ですので、数学的には間違っていますが、遺伝学的には正解ですのでそのまま求めた値を書くようにしましょう。

 まとめ

多重(二重)組み換えが起こると、遺伝子間距離が最も大きい部位どうしの距離は、各遺伝子間距離の和よりも短くなる。
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 もっと遺伝の問題を練習したい人のために

個人的に医学部学士編入試験の受験の時に、以下の参考書を使用していました。この本は大学受験の一般試験向けに書かれている本ですが、遺伝の問題を中心に取り扱っているため、集中的にやりこむことで遺伝学の計算問題に対する苦手意識がなくなりました。非常にオススメです。

大森徹の生物 遺伝問題の解法 新装改訂版 (大学受験Doシリーズ)

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