
アミノ酸は多くの生命物質の前駆体として利用されているため、各アミノ酸を思い浮かべたら、同時にそこから派生する生体物質を想起できるようにしておく必要があります。ここではチロシン、ヒスチジン、トリプトファン、グリシン、メチオニン、グルタミン酸についてまとめてみました。各アミノ酸にスポットを当ててみると、様々な代謝につながってゆくため、学ぶことが多いです。
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アミノ酸の利用
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(創作問題)
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チロシンTyr(Y)
チロシンはチロシンヒドロキシラーゼによって水酸化されたのち、Lドーパになり、脱炭酸されるとドパミンになる。そしてさらに水酸化されるとノルアドレナリンになる。さらにノルアドレナリンがメチル化されることでアドレナリンとなる。この流れは超重要。
チロシン → Lドーパ → ドパミン → ノルアドレナリン → アドレナリン
これらの構造式は描けるようにしておけば、高得点に繋がるハズ。
補足:パーキンソン病では脳内のドパミン量が不足しているが、ドパミンを投与しても効果がないことは有名である。ドパミンではなく前駆体のLドーパを投与する。ドパミンは血液脳関門を通過しないがLドーパは通過でき、脳内の脱炭酸酵素によってドパミンに変換されるからである。有名問題です。
血液脳関門に関してはこちら↓
[blogcard url=" http://igakubugakushi.com/bbb "]
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余談ですが、2017年 琉球大学医学部学士編入試験において、アドレナリンの構造式を描かせる問題が出ました。皆さんできたんでしょうか。自分はメチル基の位置をミスして得点できませんでした。もちろん結果は一次落。復習(讐?)のために描いておきます。
また、Tyrは甲状腺ホルモンであるサイロキシンT4(血中に出てトリヨードサイロキシンT3へ変換される)の原料でもある。因みに血中濃度はT4>T3である。また、紫外線吸収に寄与する メラニン色素の原材料でもあることも知っておきたい。
甲状腺の組織解剖学についてはこちら↓
[blogcard url="http://igakubugakushi.com/thyroidgland"]
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また、シグナル伝達においてはTyrキナーゼ連結型受容体におけるリン酸化部位にもなっており、カスケード反応の起点にもなっている。
チロシンキナーゼ連結型受容体の一例 インスリン受容体 についてはこちら↓
[blogcard url="http://igakubugakushi.com/insulin"]
ヒスチジンHis(H)
ヒスチジンはの脱炭酸によってヒスタミンが生成する。生じたヒスタミンはⅠ型アレルギーとも関係しており試験頻出である。
ヒスタミンてこんな構造式してたんですね。
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また、ヒスタミン受容体の働きについてまとめておきましょう。
ヒスタミン受容体はH1からH4まであって、全てGタンパク質連結型受容体である。
試験的に重要なのはH1受容体とH2受容体であって、
H1受容体は、気管支収縮、血管拡張、血管透過性亢進の3つが重要!
H2受容体は、胃酸分泌亢進を覚えておく。
Ⅰ型アレルギーについてはこちら↓
[blogcard url="http://igakubugakushi.com/allergytype1"]
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トリプトファンTrp(W)
トリプトファンは側鎖にインドール環を持つ芳香族アミノ酸である。(芳香族アミノ酸はFWYの3つであることも忘れないようにする)
また、概日リズムと関係のあるセロトニン、メラトニンそしてナイアシンの体内活性物質であるNADの前駆体でもある。
この Trp → セロトニン、メラトニン、NADはいつも忘れてしまうので、暗記ゴロ。
『トライセラトップス等!』と覚える。『トラ(Trp)イセラ(セロトニン)ト(メラトニン)ップス等(NAD)!』
暗記ゴロはなんでもいいのです。
ダメ押しでトリプトファン→セロトニンの構造式を書いておきます。
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グリシンGly(G)
グリシンは生体内で様々な生体物質前駆体として用いられている。
- コラーゲン:-(Gly)-(X)-(Y)-を繰り返し配列とした一次構造を繰り返す。XとYはアミノ酸。
- ポルフィリン:GlyとスクシニルCoAからδアミノブレリン酸を経て、反応を繰り返しヘムを合成する。(ヘムはポルフィリンとFe2+からなる錯体)
- クレアチン:GlyとArgからクレアチンリン酸として合成される。
- グルタチオン:Glu、Cys、Glyのトリペプチドで、抗酸化作用と細胞解毒作用を有する。
- プリン体:各プリン体合成の原料となる。
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メチオニンMet(M)
メチオニンは側鎖の端っこがメチル基であることが超重要で、ATPと反応してメチル基供与体のS-アデノシルメチオニンになるのでした!
メチオニンの利用についてはこちら↓
[blogcard url="http://igakubugakushi.com/aminoacid-metabolism"]
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【 記述対策 】
【ポイント】 血液脳関門通過はレボドパはOK、ドパミンは×!
【ポイント】 これは臨床の現場で用いられている方法であり、抹消における脱炭酸酵素阻害薬を用いて、血液脳関門を通過する前にレボドパが代謝されてしまうのを防ぐことによって、レボドパの脳内移行率を高めることができる。 参考URL:http://kusuri-jouhou.com/pharmacology/parkinson.html
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