アミノ酸代謝について
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糖代謝が理解できたら、アミノ酸の代謝も理解しておきたいところ。この分野は時々出題されるみたいで、かつ知っていれば解けるはず。ただ化合物名だけをただひたすら暗記していくのには限界があるし、構造式はできる限り描ける方がいいと思います。

アミノ酸代謝について

【穴埋め問題1】
アミノ酸代謝においてまず重要なのがオルニチン回路である。ここでは、多くのアミノ酸はαアミノ基をアミノ基転移酵素、別名 ( 1 ) のアミノ基転移反応によって ( 2 ) (2-オキソグルタル酸 2-OGともいう)に渡し、2-OGをグルタミン酸に変換する反応である。このアミノ基転移酵素は補酵素として ( 3 ) が必要である。因みにこの ( 3 ) はピリドキシン、ピリドキサール、ピリドキサミン等の種類があり、生体内ではこのアミノ酸代謝の他に、神経伝達に用いられる。欠乏症としては痙攣、てんかん、貧血があり 抗結核薬の ( 4 ) と構造が類する為、しばしば拮抗作用を示し副作用を示すことがある。話を戻そう。アミノ酸の種類は20種類ある為、このアミノ基転移酵素はそれと同じ数存在するが、臨床的に有名なのは肝炎や薬物中毒で上昇する ( 5 ) と ( 6 )である。( 6 ) は心臓と骨格筋でも活性が高い。アミノ基を受け取った2-OGはグルタミン酸となるが、( 7 ) による酸化的脱アミノ反応によってアンモニアを遊離して再びαケトグルタル酸に戻る。この遊離したアンモニアは肝臓のオルニチン回路にてオルニチンと( 8 ) へ分解される。まず遊離したアンモニアは ( 9 )イオンと ( 10 ) の分解エネルギーを用いてカルバモイルリン酸が合成されるが、この反応を触媒するのは ( 11 ) である。次にカルバモイルリン酸は ( 12 ) と反応して ( 13 ) となるが、この反応を触媒するのは ( 14 ) である。次にここで生成されたシトルリンは ( 15 ) と反応して ( 16 ) となる。さらに、この ( 16  ) は ( 17 ) の触媒反応によりアルギニンとフマル酸となる。そしてアルギニンは ( 18 ) によって  ( 19 ) とオルニチンへ分解される。これによって、毒性のあるアンモニアは無毒水溶性の尿素に変換され、肝細胞から血中に流れ出し腎臓のボウマン嚢よりコシ出され、尿中へ排泄される。(創作問題)

 

【答え】
1.トランスアミナーゼ、2.αケトグルタル酸、3.ビタミンB6、4.イソニアジド、5.ALT、6.AST、7.グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、8.尿素、9.重炭酸、10.ATP、11.カルバモイルリン酸シンターゼ1、12.オルニチン、13.シトルリン、14.オルニチンカルバモイルトランスフェラーゼ、15.アスパラギン酸、16.アルギノコハク酸、17.アルギノコハク酸リアーゼ、18.アルギナーゼ、19.尿素

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アミノ酸骨格の分解について

次は残りのアミノ酸骨格の処理について。基本的に残りのアミノ酸骨格は、基本的にTCA回路のどこかに入る。ただし20種類あるアミノ酸全ての代謝経路を暗記するのは難しいので、試験に出るところだけを抑えておこうと思う。

①グルタミン酸Glu(E)、グルタミンGln(Q) これはオルニチン回路でやった。グルタミン酸デヒドロゲナーゼがグルタミン酸からアミノ基を遊離させ、2-OGを生成する。2-OGはTCA回路に入る。 グルタミンは、グルタミナーゼによってグルタミン酸へ変換されてから上記の経路をたどる。

オルニチン回路についてはこちら↓

[blogcard url="http://igakubugakushi.com/ornithine-cycle"]


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②アスパラギン酸Asp(D)、アスパラギンAsn(N) アスパラギン酸とくれば、AST(アスパラギン酸アミノ基転移酵素)がアスパラギン酸からアミノ基を遊離させ、オキサロ酢酸を生成する。オキサロ酢酸はTCA回路に入る。 アスパラギンは、アスパラギナーゼによってアスパラギン酸へ変換されてから上記の経路をたどる。

 

③フェニルアラニンPhe(F)、チロシンTyr(Y) フェニルアラニンは構造式を覚えておくべきで、フェニルアラニンヒドロキシラーゼによってチロシンが生成する。 反応が進み、チロシンからは最終的にフマル酸(糖原性)とアセト酢酸(ケト原性)が生じるので、フェニルアラニンとチロシンは糖原性アミノ酸、ケト原性アミノ酸の両方を兼ねるアミノ酸である。この分解系に異常が生じているとフェニルケトン尿症が生じる。難病指定されている。 参考URL:http://www.nanbyou.or.jp/entry/4747

 


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④メチオニンMet(M) メチオニンはまずATP(アデノシン三リン酸)と反応して、S-アデノシルメチオニン(SAM)を生じる。SAMはメチル基供与体として覚えておくこと。メチル基を放出すると、S-アデノシルホモシステインとなる。(S-アデノシルシステインではないことに注意!-CH2- が一つ多い!) この分解系に異常が生じていると高ホモシステイン血症が生じる。これは出生時の乳児における神経損傷を引き起こし、脊椎被裂と無能症の原因となる。しかし、高ホモシステイン血症は妊婦へのビタミンB6、B12、葉酸の摂取で予防可能。

メチオニンとシステインは-CH2-の数が1つ異なることに注意!

⑤バリンVal(V)、イソロイシンIso(I)、ロイシンLeu(L) これらの反応系は少し複雑なので、試験的には覚えない。ここの分解系で重要なのは、分枝αケト酸デヒドロゲナーゼの欠損によってαケト酸が尿中にメープルシロップ尿症が生じるということ。哺乳力が低下し、痙攣、嘔吐、意識障害、呼吸障害などの症状。即治療に移らなければ、麻痺や発育障害、知的障害等を引き起こし、死に至る。制限食が必要で、雪印メグミルクが製造する、ロイシン・イソロイシン・バリン除去ミルクを用いる。難病指定されている。メープルシロップとはカエデの木のこと。(分枝しているメープルをイメージすれば忘れない)

 

参考URL:http://www.info.pmda.go.jp/go/pack/3279104X2037_1_08/

参考URL:http://www.nanbyou.or.jp/entry/4814


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⑥ケト原性アミノ酸は『LK』 ロイシンLeu(L)とリシンLys(K)がケト原性アミノ酸であることは暗記事項。 因みに、糖原性アミノ酸は数が多いので、糖原性かつケト原性アミノ酸を覚えればよく、それは

『YWTIF』わいだぶりゅーてぃふ...(YWと書いてあるTIF画像..でも覚えづらいか...)

余力があれば覚えておくとどこかで出るかも。

【穴埋め問題 復習】
アミノ酸骨格の分解が起こると、基本的にTCA回路のどこかに入る。ピルビン酸アセチルCoAαケトグルタル酸スクシニルCoAフマル酸オキサロ酢酸アセト酢酸の物質のうちのどれかに分解される。このうち、アセチルCoAアセト酢酸はケト型であり、糖新生に利用できないため ( 1 ) アミノ酸と呼ばれており、 ( 2 ) と ( 3 ) が含まれる(LKと覚える)。そして上記の赤文字の物質になれるアミノ酸は糖原性アミノ酸と呼ばれる。因みに糖原性かつケト原性アミノ酸は5つあり、 ( 3 )( 4 )( 5 )( 6 )( 7 ) である(YWTIFと覚える)。グルタミン酸は( 8 ) によって2-OGに分解され、TCA回路に入る。また、アスパラギン酸と2-OGはASTによって( 9 ) とグルタミン酸に相互変換され、アラニンと2-OGはALTによって ( 10 )とグルタミン酸に相互変換される。フェニルアラニンは  ( 11 ) によってヒドロキシ基を付加されチロシンに変換され、アセト酢酸(ケト系)とフマル酸(糖系)を生じるため、上記のYWTIFのメンバーと言える。しかし、フェニルアラニンの分解系に異常が生じると ( 12 ) 症を生じる。次に、メチオニンは ( 13 ) と反応して、 ( 14 ) を生じるが、これは強力なメチル基供与体である。メチル基を放出した後、S-アデノシルホモシステインとなるが、分解系に異常が生じると高ホモシステイン血症を生じる。次にバリンVal(V)、イソロイシンIso(I)、ロイシンLeu(L) こと言った分岐鎖を持つアミノ酸については、 ( 15 ) の欠損症として ( 16 ) 症が生じる。(創作問題)

 

【答え】
1.ケト原性(アミノ酸)、2.ロイシンLeu(L)、3.4.5.6.7.チロシン、トリプトファン、トレオニン、イソロイシン、フェニルアラニン、8.グルタミン酸デヒドロゲナーゼ、9.オキサロ酢酸、10.ピルビン酸、11.フェニルアラニンヒドロキシラーゼ、12.フェニルケトン尿(症)、13.ATP(アデノシン三リン酸)、14.S-アデノシルメチオニン、15.分枝αケト酸デヒドロゲナーゼ、16.メープルシロップ尿(症)

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